【音声レビュー】
最近読んだ雑誌の感想を語るのは誰だ
第2回:
『CREA 2020.6・7月号』ほか

コンナトキダカラコソとかじゃなくて、日々、変わらず雑誌を読んでます。ひとりでボヤいたりムムムとうなりながらページをめくる時間をそのままに、ふたたび雑誌の感想を音声にてお届けします。

竹内厚
竹内厚
編集者、ライター。『Meets Regional』ではアーティスト取材連載「街にイルアートな人」を担当。コロナ禍でできた余白に、山田爵・訳『ボヴァリー夫人』→蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』と読み進められたのは満ち足りた時間でした。

最近読んだ
雑誌についての話

最近読んだのは、
たとえばこんな雑誌

『CREA 2020.6・7月号
偏愛のすすめ。』

表紙に書き出された「マンガ、サンリオ、魔女っ子おもちゃ、パンダ、キノコ、脚付きの器、パフェ……」というラインナップからして奮ってる偏愛特集。濃いめな内容に対して、表紙や特集扉にはテディベアを登場させてバランスをとっている。というか、アリバイづくりだ。音声でも話したけど、並みいる偏愛者たちの中でも、ハライチ岩井勇気さんの偏愛プロぶりは圧倒的。

『CREA 2020.6・7月号 偏愛のすすめ。』

『花椿 No.827
2020年夏・秋合併号』

表紙から16ページにわたって、濱田英明撮影による池田エライザらによる銀座ファッショングラビア。つづいて、大森克己写真とセットで6人が「銀座物語」を寄稿。その後も、Charaの連載にリリー・フランキーがゲストで、その写真は鈴木親。……と、企業広報誌ならではのゼータクさ、パラパラ見てるだけで満足できる気軽さ。文庫の『銀座の神さま仏さま』がブックインブックとして封入。

『花椿 No.827 2020年夏・秋合併号』

『仕事文脈 vol.16
東京モヤモヤ2020』

今の状況に即した特集かと思ったら、東京五輪にあわせて考えられたテーマだった。なので、五輪期間に東京を脱出しようと計画していた人たちのインタビューなどを掲載。この号にかぎらず、特に著名な人ではない、けど書くべきこと話すべき話のある人たちによる記事が多くて、読ませる率が高い。表紙はずっと大阪のイラストレーターmakomoさん。

『仕事文脈 vol.16 東京モヤモヤ2020』

『熱風 2020.6月号
コロナと映画』

青木理の連載ゲストがダースレイダーで、冒頭で語られるプロフィールにびっくり。父も母方の祖父も伯父も記者で、祖父が朝日ジャーナルの初代編集長と。ファンにはおなじみの話なのか。「リプレゼント・病人」という立ち位置からの発言も響くものだった。しまおまほの隔月連載も、コロナな日々を日記として書くのではなく、エッセイとしてしっかり成立させていて読み応えあり。音声で話した、編集者としての鈴木敏夫インタビュー記事はゲームメディア「電ファミニコゲーマー」に掲載されてました。

『熱風 2020.6月号 コロナと映画』

『面白半分
昭和49年5月臨時増刊号
大対談』

まるごと1冊を対談だけで構成。表紙から目次、扉、ひとつひとつの対談のレイアウト、対談のテキストにいたるまで、とても完成度が高くてうれしくなる。「金子:さて、耳のお準備を……(新調の補聴器を取り出す)。はて? 耳は、ぼくは、どっちが悪かったんだっけ。/吉行:(笑)。わたしは知りませんよ。よく聞こえる方へどうぞ。/金子:ああ、聞こえる。聞こえる。ほんとに、よく聞こえますよ……、今日は何のお話しを。」から対談が始まって、シモなトークを繰り広げる金子光晴×吉行淳之介の初対面対談をコロナ禍の中で読んで、めちゃくちゃ元気が出た。

『面白半分 昭和49年5月臨時増刊号 大対談』

『REAR No.44
Y/Our Statement
私(たち)の声』

名古屋で発行されている芸術批評誌、3月31日発行の最新号は渾身の「あいちトリエンナーレ」特集。名古屋のさまざまな人たちによるトリエンナーレをめぐるテキストは、大きく報道されなかった無数の現場や派生した出来事が生まれていたことを知らされた。「問題が大きくなればなるほど、議論の現場は東京に移ったように思う」という一文もあったけど、ほんとそうでした。いつも文字がぎっしりで持ち重りのする雑誌だが、今号はより一層重みがあった。

『REAR No.44 Y/Our Statement 私(たち)の声』

『THE BIG ISSUE
2020.6.15 VOL385』

最近、デザインがリニューアルされたと聞いて前号から購入。けど、大きくは変わらず、オーソドックスなつくりはそのままという印象。路上の販売者から購入するというのは今もってドキドキするし、最高な仕組みなんだけど、誌面はその仕組みを超えるほどの驚きがない。タムくんことウィスット・ポンニミットの「マムアンちゃん」、ホームレス人生相談の連載は好きです。貴重な大阪発信の全国誌。

『THE BIG ISSUE 2020.6.15 VOL385』

企画・文・写真・声:竹内厚
編集:松尾修平

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