ブックタイトルthe_meshi
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最強うどん。饂うどん飩 きぬ川[ 空堀商店街] 夜は、日本酒が麗しいラインアップで揃っており、酒、つまみ、締めうどんという蕎麦前ならぬ〝うどん前?がヤレる。香りを感じながらだしで飲むのがツウか。●大阪市中央区谷町7-6-35 206-6761-7744 11:20~14:00 17:30~20:30 第1・3月曜夜&火曜休地下鉄谷町線松屋町筋谷町松屋町駅六丁目駅南高地下鉄長堀鶴見緑地線長堀通 香川に行くたび、「このうどんが大阪の昆布だしに浸かっとったら、さぞや」と無い物ねだりをしたものだったが。いま、その夢が一杯の丼として具現化しているこの幸せよ。 店主・衣川 猛さんと出会ったのは2005年、空堀商店街にある?こんぶ土居?でのこと。日本料理の根幹であり、〝浪速の喰い味?に欠かせない真昆布のだし文化を守り育て、次代に繋げることを使命とする、創業100有余年のこの昆布屋さんを、私は「大阪食文化の守護神」として崇め奉っている。あの日も、神様詣でにふらりと店に立ち寄ったら、「今度、うどん屋さんをしはる方で、真昆布の勉強に来てはるんです」と土居さんから、1人の痩身の男性を紹介されたのだった。社会科の先生みたいな生真面目な風貌の、有り体に言えば客商売に不向きそうなそのお方は、ぼそぼそと聞き取りにくい声でこういった。「今、?釜たけうどん?さんで修業中です」。するとアナタは、讃岐うどんを本気の大阪真昆布だしで出そうと? 「はい、高松に暮らしていた頃、この麺に大阪のだしがあったらいいのになと思ってまして」。途端に、社会の先生が頼もしい一徹な職人風に見えてきたのは現金な話。しかし、その印象は案外的を射ていたようで、23年の営業マン時代、最初の赴任先・高松でうどんに魅せられ、高松を去って後は、まだ讃岐ブーム到来以前のこととて、致し方なく自らうどんを打っていたという凝り性タイプなのだ。 2006年、開店した店は、「麺良し、だし良し」で、たちまち高い評価を得たが、何しろとんでもなく不便な立地。それが2011年、これまた土居さんの肝いりで空堀商店街に目出度く移転と相成った。市内を拠点とする私が小躍りしたのは言うまでもない。 毎度、私は2杯注文する。ブリンッと光を弾く艶々のうどんを堪能せんがためのぶっかけ系と、毎日12時間掛けて丁寧にとっただしを味わえる白昆布うどんだ。昆布だしとの絡みを考慮した、硬すぎずもちっとした粘り腰の麺と、上等な真昆布の滋味がしみじみと臓腑に行き渡るだしのカップリングは、これぞ大阪・讃岐うどんの完成形! 手放しで褒める私に「まだ改良してます」と衣川さんは相変わらずの堅物ぶりで応じるのである。化学調味料に慣れた舌には、一口目は物足りないかもしれぬが、暖簾をくぐって店を出る頃、昆布だしの旨みにじんわり包まれる口福を。麺を味わうなら、とり玉天ぶっかけ820円(右上)。サクサクの鶏の天ぷら、半熟玉子は途中で割って。昆布の力が味わえる土居さんの白とろろをオンした白昆布うどん720円(各税込)。取材・文…団田芳子 写真…エレファント・タカL e g e n d o f O S A K A饂飩 きぬ川のとり玉天ぶっかけと白昆布うどん23