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概要

M1611

EVISU山根英彦&昭彦HIDEHIKO YAMANE&AKIHIKO まだ酷暑の続く8月最終日の夕刻。待ち合わせた?琵琶湖山根平安樓?に、山根英彦氏は現れた。釣り?ゴルフ焼けしたその出で立ちは、迫力しかない。「俺、一線からは半分退いてて、今は息子に任せてるねん。後で紹介するわ」。今年でブランド創設25周年。91年の立ち上げ当初、「(ペイントが)あるのとないので2型にしただけ。遊び心な。ほな入れた方が売れた」と話す通称"カモメマーク"は、今やブランドのアイコンとして全世界に知られている。だがしかし。正直な話、東日本大震災と前後して、その破竹の勢いにやや陰りを感じていたのは僕だけだろうか。怖々と聞いてみる。「"繋ぐ"いうのは、ホンマ大変なこと。俺、50歳になる2011年頃に引退しよう思てて、外部から社長も引っ張ってきた。ところがその頃会社は、他店舗展開や海外生産やと"商売"に舵を切りよった。おいおい、これは普通のファッションメーカーになるぞと。だから俺、カムバックして、当時60店舗あった店のうち、ショッピングモール内の本来のスタイルやなかった40店舗を閉めた。で、目の行き届いた20店に減らしてん」。「えらい損した」と笑う山根さんだが、その英断が創業当初からのファン=根っからの服好きの心をさらに鷲掴みにし、より強いブランドの幹が形成されたのかもしれない。そして拠点を滋賀・琵琶湖沿いに移転。3年前には自社工場の設備も増強した。現在は、定番のデニムからシャツ、テーラードジャケットに至るまで、可能な限り自社で製作しているという。その理由は、「誰にも真似できないことをやりたいから」。その一例が、つい最近製品化に至ったというデニムのジャカード織りによるカモメマークの総柄、通称「鴎唐草文様」。本来ジャカードは編む時点で模様が歪む上に、デニムは洗えば斜行するから、職人からは不可能と言われ続けたそうだ。「6年かかったけど、でも出来てん。企業秘密でっせ(笑)。その手法は、息子が見つけてきよった。まだ31(歳)で目が若いし、服作りについての固定概念がないのがええわな」。噂をすれば、そこへちょうどご子息の昭彦さん。「エヴィス」スタッフ名物(?)のスキンヘッドこそ父と重なれど、シンプルなアメカジスタイルに柔らかな物腰は、ある意味英彦氏の対極だ。「何も特別なことはやってへん。今も昔も、遊び9割商売1割のインディゴのアイビーや。でもな。その9割の遊びの感覚が、1割の商売をごっついエキサイティングにしてくれるねん」。 定番のデニムからアクセサリーに至るまで、「エヴィス」の中でも最もマニアックなアイテムがズラリとラインアップする旗艦ショップ。●大阪市北区茶屋町15-31 茶屋町クリスタル1FA区画 206-6371-1992 12:00?20:00 無休BUY HERE!EVISU 梅田店[大阪・茶屋町]お初天神東梅田地下鉄谷町線JR東西線御堂筋地下鉄御堂筋線「デニムのジャカード織り」という英彦氏の6年越しの挑戦に、昭彦氏が答えを導き出し、生地が完成したという親子共作の逸品、「ジャカードデニム・クレイジーパターン」28~36インチ22,000円、38インチ~24,000円。BUY NOW!6年越しで完成した、親子共作。王国。〝世界を変えた?といっても過言ではない、ジャパン・デニム。そのルーツは約20年前、ここ関西だ。今年でブランド創設25年目を迎える大家から、5年目に突入した新鋭まで。西が誇る藍の賢者たちを訪ねた。取材・文/大木拓郎 松尾修平(本誌) 写真/伊藤菜々子 岡本佳樹 渡邉一生滋賀の本社ビル内では、25年間のアーカイブが一望できる。ペンキステッチは全て手描き。描けるのは社内試験合格者のみ。「昔も今も、遊び9割商売1割。インディゴのアイビー一本や!」「引退寸前て書いといて!」と言いつつインディゴへの情熱は今なお現役、ご存じ山根英彦氏・御年57歳と、氏のご子息であり現在「エヴィス」の実務全般を担う昭彦さん。おふたりでの登場はメディア初!?48