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M1603
7「ぽんしゅや、もう行った?」今、最も福島らしい日本酒立ち呑み。取材・文/廣田彩香 写真/わたなべよしこ洒落た店内と洗練された料理。背広姿のおじさまや、OL、カップルまでも次々と吸い込むと噂の日本酒立ち呑みにミーツが潜入。今福島に行くなら、まずはここから! 豆皿に乗った右のごちそう。常連さんに正しい食べ方を指南いただけば、片手でノリの四角をひょいとつまみ上げ、そんな口福のクレーンゲームがあっていいの? と思うほどのためらいのなさで、ポイっとひと口。これが人気メニューのウニイクラのおにぎらず。豆皿の中にとてつもなく福島らしさを感じたのだ。美食にも愛嬌を盛る街なのだと。 国道2号線の北側にある裏路地に、昨年の4月、色気を放つ白壁の店が登場。窓のない木戸を引くまでここが日本酒立ち呑みであるとはおよそ予想もつかないだろう。中の設えとて、ある人が言った「サードウェーブっぽい」の説明が一番しっくりくると思う。目を奪われるショーケースのような日本酒セラーには、ライトに照らされた一升瓶が…。ここまでに得た情報で、いわゆる女性向けの華やかな日本酒をワイングラスで提供する系? と邪推したが、もちろん華もあるが旨口や熟成酒もきっちりとセレクトした達筆系ラベルたちが並んでいたのだ。ひしひしと伝わる強い意志は料理からも。やきみそといった380円の酒肴や、立ち呑みの品書きに並ぶにはちょっと異例の価格帯、馬刺しうに巻きやさえずりの土手焼きが各1480円。なぜ? の向こうに男気があった。 店長の田中英也さんは昔からひとり飲みが好きで、おのずと気楽な立ち呑みに足が向いていたそうだが、「すし詰めで飲むことはあまり好きではなかったんです」。さらに「ふとスッポンが食べたいなと思ったとき、その欲求を立ち呑みで満たすことが出来れば最高ですよね」と。そして福島勤務&在住歴も長い田中さんは街を見渡した。ここから口調は熱っぽくなる。「人生経験豊富な先輩方と接することが好きなんですけど、そんな方たちが今、福島で困っていると感じて。一カ月先の予約は取ってあるけど、ちょっと飲みたい今日はどこの店行ったらいいんや? バルには行かれへんし…と。あぶれてしまった50代・60代の方が多いと思うんです」。街の欲求を受けとめるのが立ち呑み。男前・女前に飲める空間と内容を備えて、彼らの受け皿になろうと田中さんは思ったのだ。しかと街を見つめ、だからこうなった、の理由が明確なネオ日本酒立ち呑みに、福島の人の〝外柔内剛?の精神を見た。ぽんしゅや三さんとくろくみ徳六味map P10 E-3 古民家の一階天井を剥がし、爽快な抜け感にも日本酒がつるつると。入れ替え30種ほどの日本酒は四国・九州・関東の酒屋からも常時仕入れ、出合い多し。90?で均一590円、おにぎらずは580円。最大17人収容、禁煙。●福島区福島1-6-11 206-6136-8236 18:00~翌1:30 日・祝休