ブックタイトルM1510

概要

M1510

27味噌、塩もあるが、らもはしょう油ラーメン派だった。700円（当時は650円）。「スープが飲みたかったんちゃう？」。アテにはキムチ200円など。　［好］という店名で営業していた頃、深夜に訪れては「だいたい日本酒を2 杯。食べるのはラーメン一杯がやっと。他の店では食べてた？ 考えられへん」と大将。らもが店の玄関マットの上で昏睡して、みんなで事務所まで運びこんだという出来事もあったそうだが、睡眠薬が原因だったと『さかだち日記』には記されている。　「昼にはまず来ない。来られるのは夕方、あまり人のおらん時間やね。らもさんだとは知ってたけど、ちょっと声かけにくい感じやった」。『西方冗土』では、「ワハハな店名」として店の看板が掲載されたこともあり。もしや「日の出通り商店街いきいきデー」に出てくる主人公のモデル!? ってことで、大将、この決めポーズに。　ラーメンの名店として知られた［好］を38年続けた後、「わくわく感を失って」閉店。約1年の休暇をはさんで、復活を果たした。開口一番、「おかえり」で迎えてくれる。●天王寺区玉造元町4-10　206-6761-6303　17：00～翌1：00　水曜休らあめん 華 ［真田山］MAP P11 B-2「ネーポンあります」の張り紙をキッカケに。元プロレスラー、ミスター・ヒトが営む店。「やらかいやきそば」の呼び名からして、らも好み。焼きそばの硬い方もあるが、らもはやらかいひと筋だった。あんかけ麺（やらか）720円。　フシギな店名の由来は、戦前はタバコ屋と喫茶店が一緒になった店だったことから。移転にともない中華・洋食店となったが、店名は「面倒なので」そのままに。●天王寺区玉造元町3-16　206-6761-1486　11：30～20：30　水曜休たばこや ［真田山］MAP P11 B-2決まって左奥の席について、白鶴のコップ酒に、にぎり盛りあわせ1,100円がらもの定番。一杯でさっと席を立つことが多かったという。カラオケを歌うことはあまりなかったが、ときどき野坂昭如の『黒の舟唄』を披露したそう。　「握りでコップ酒を一杯。ひとり静かに飲まれてました」。『微苦笑中毒者の告白』では、池波正太郎ばりに「夜遅くまで開けている蕎麦屋で酒を飲む」魅力を語っていたらも。その理由が、大衆酒場の騒がしさがないから。うどんと鮨が両看板のこちら、その気配十分。　初来店の日、マスターが入店拒否。にもかかわらず、「僕、らもです」「誰やねん！」のひと悶着があったそうだが、お客さんのとりなしで無事に入店。「ぼそぼそと話されるけど、やっぱりどこか引き込まれる感じ」とはママの評。こちらでは、らもがボトルキープも。　深夜の長堀通、ぽつんと灯りの入った提灯が揺れる。酒肴も揃う玉造の深夜食堂。10席に満たないカウンターのみで、30周年も見えてきた。●天王寺区玉造本町1-29　206-6768-4035　18：00～翌3：00頃　不定休味里 ［真田山］MAP P11 B-2　洋酒党に愛されてきた「オーシャンウィスキー」を看板に、今年で29年目。オーシャンはすでに販売終了してしまったが、洋酒が進む雰囲気は健在。●天王寺区玉造元町2-31　山岡ビル1F　206-6765-1305　19：00～0：00　日祝休スナック ん ［真田山］MAP P11 B-2「日の出通り商店街　いきいきデー」所収、『白いメリーさん』／中島らも／講談社文庫今はなき、通った店　日之出通商店街を鶴橋側へと抜けた先に実在した「奇怪な喫茶店」。「ネーポン」のみならず、おばあさんの家そのものな店内、偶然いたラリったおじさんなど、『西方冗土』で描写されている（作中では「亜細亜コーヒー」表記）。　「ヒトさんはすごくお話好きで、興が乗るとらもさんが座っているテーブルのそばまで来て話し続けるんですけど、お店で働く人の矜持なのか、腰掛けはしないんです。大半が本には載せられないような話ばかりでしたね」。アジアコーヒ 日の出通り店お好み焼き屋 ゆき［証言者］大村アトムさんらも3代目マネージャー。数々の現場に同席。『西方冗土-カンサイ帝国の栄光と衰退-』／中島らも／集英社文庫『クマと闘ったヒト』／中島らも、ミスター・ヒト／MF文庫ダ・ヴィンチ◎証言者味里店主山口満さん◎証言者らあめん 華店長山地正通さん◎証言者スナック ん店主あけみママ◎証言者たばこや店主田渕夫妻うちの酒は湯のみで出すから、らも先生喜んでたわ。酒に酔うというより夢遊病のような感じかな。「やらかいのん」ばかり食べてはったなぁ。飲んだ後に来られるけど、乱れることもなくて。