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概要

M1501

63ROUGH RARE since 2001cafe Fish! since 2002 巷がミレニアムに浮き立っていた2000年前半に巻き起こった空前のカフェブーム。阪神淡路大震災からの復興を少しずつ遂げつつあった神戸にも、その波はやってきた。立て続けに登場したカフェは、揃って大バコ。折からのリノベーションブームも手伝って、元銀行の[E.H BANK]、オフィスビルの[ROUGH RARE]といったレトロ物件をそのまま生かした空間はたちまち話題を呼び、インテリア目当ての客が引きも切らなかったし、[cafeFish!]はインテリアショップも併設(当時)と、通いたくなる理由が明確で弊誌でも度々取り上げてきた。震災の自粛ムードがまだ尾を引いていた時期、「女のコを連れて行くとドヤ顔できる」、「遊ぶことを自慢できる」場所が、神戸の街に楽しげな空気をもたらした。そしてさらなる強み、母体が音楽レーベルを所有する[ROUGH R ARE]や[cafe Fish!]はライブイベントを次々仕掛け、[E.H BANK]は夜遅営業など使い勝手のよさを打ち出した。その後の10年、競合店が乱立し、その一方でカフェ自体が勢いを失った時期も。けれどブーム以前から喫茶文化が根付き、大人数が一堂に集うことの大切さを知っている神戸だからこそ、大バコカフェは日常に欠かせないものなのだ。そのブレない“原点”が、10年経っても消費されない、古びない熟成味を放ち続けている。オーナーのお気に入りというバラバラのチェアやソファがポップな印象の2階をはじめ、DJブースを備えイベントスペースとしても機能する3 階、パーティー利用を基本とした4階の3フロアからなる。「ラフでレア」というコンセプトを形にした、今も色あせない一軒。巨大な鯉のオブジェと共に建ち、神戸っ子に「魚のカフェ」と呼ばれこれまで愛されてきた。フランク・O・ゲーリー設計、安藤忠雄が監修を担当した空間は、高い天井とガラス張りで格別の抜け感がある。中2階では朝ヨガなどのイベントも開催している。遊ぶことを思い出させた〝ブーム?という原点。